神田日勝の作品の空間表現とフォルムのとらえ方には、ある特徴が見られます。それは、奥行きの狭さ、デフォルメされたモチーフ、コラージュのように貼り付いたように表現された人物やモチーフ。
画家の造形思考がどこから来たのか、何から影響を受けたのかを考えたとき、キュビスムによる多視点的なとらえ方が一つの示唆を与えていたのではないかと思われます。
この展覧会では、キュビスムの創始者の一人であるピカソの作品を始め、早くは1930年代の三岸好太郎、1950~60年代では難波田龍起、北岡文雄、松樹路人、亀山良雄、岡田悟郎、小川原脩、橋本三郎、岸葉子、藤川叢三、小谷博貞からその影響が顕著な作品を抽出し、その特徴や当時の美術潮流をたどり、1960年代に制作した神田日勝の作品と比較しつつ、日勝の造形思考について考察します。