小さい頃、私の家の周りは、畑や田んぼ、竹林や川、冒険する場所で溢れていた。
虫たちの脱皮した抜け殻や表情の違う美しい花々、水の上を歩く虫や足の生えたオタマジャクシに大きな蜘蛛の巣、今日はどんなものに出会うのか楽しみでならなかった。
整備されていく街の変化と忙しい時間の流れの中で、随分と幼い頃の冒険の欠片は見られなくなってしまった。
あの頃持っていた小さなことに感動する心、そしてわくわくする気持ち、どんなに忙しい世の中で生きていても忘れたくない大切なもの。
私にとっての絵は、そんなかけがえのないものを綴る一つの日記のようなものかもしれない。
小さい頃始まった私の冒険は、いまも続いている。
色んな物語と出会い、学び、感じて、忘れそうな大切なものをそっと絵の中に残していきたい。
山本麻衣子