1980年代より発表をはじめた矢野美智子は、日本国内には留まらず、海外でも沢山の展覧会に参加してきました。金属やFRPなどの人口素材を用いずに、木や自然石などを素材とした彫刻を制作しています。木を削り、着彩されて出来た作品は、一見するとアフリカや南太平洋の原住部族が祭祀に用いる道具のような神秘的な形をしています。しかし、それらは、トライバルな形をさかのぼり、人類のさらに原初的なレベルにある形態のようにも見えます。一方で、どこか未来的な雰囲気も感じさせ、「太古の未来文明」とでもいうような、時空を超えて、地域や文化を越えて存在する彫刻のように思えます。本展では、彫刻、ドローイングの最新作に未発表作品を含めた約10点を展覧いたします。