群馬、榛名 (はるな) 山麓に広がる自然豊かな地にアトリエを構え、水こそが万物の根源であり、生命の象徴だと捉え、水をテーマにした作品を精力的に制作している髙濱英俊の彫刻展を開催します。
髙濱英俊は、1957年熊本県宇土郡不知火町(現 宇城市不知火町)に生まれ、1983年東京芸術大学彫刻科を卒業(瀧富士賞を受賞)、85年同大学院修了、翌年、同大学院の研究生を終了します。85年に埼玉県朝霞市にアトリエを構え、作家活動を開始。在学中から一貫して取り組んでいる石彫で、水をモチーフにした作品を独自の造形感覚で展開していきます。2010年、アトリエを現在の地に移してからは、自然との対話はさらに深まり、精力的な制作は留まることを知りません。その間、個展、グループ展等も活発に行い、国内外で高い評価を得ています。
髙濱の作品は、自然、とりわけ、水の形を造形化しています。日常的な水との関わりから育まれたイメージは<かたち>として極限まで単純化され、石を彫る、削る、磨くという厳粛で困難な作業を経て息づきます。生まれた作品には、「水」を超えた諸々の生命力が宿り、それが自由な姿で、時には流れるようなフォルムで、時にはユーモラスな表情で、時にはハーモニー溢れる豊かな空間となって見る人の心にやさしく迫ります。
本展では、石の彫刻約40点に、レリーフとドローイングを加えた60余点を展示します。自然の鼓動が静かに聴こえる髙濱彫刻の魅力をお楽しみください。