この展覧会は滋賀県立近代美術館の開館30周年を記念して開催する館蔵名品展の第1弾であり、当館所蔵の版画作品を展示します。
当館では、現代美術・近代の日本画・郷土滋賀県ゆかりの美術を中心に収集活動を進めてきましたが、そのなかには多くの版画作品が含まれます。時に力強く時に柔らかで表情豊かな線と色彩で表された木版画や石版画、繊細な線による表現が特色の銅版画、原画を忠実に再現するシルクスクリーンなど、その技法は多様であり、多くの画家が版画特有の表現にひかれ、作品を制作しています。また版画は同一の版から複数の作品を繰り返し反復して制作することができますが、これは現代美術のマルチプル(複数制作)の概念と重なるものであり、ポップ・アートなどの現代美術の作品の多くは、版画の複数性と反復性から大きく影響を受けています。
本展ではピカソ、マチスなど20世紀初頭からのヨーロッパの画家たちの作品、ウォーホル、リキテンスタインらによるポップ・アートの名作、舟越桂、赤瀬川原平、山形博導(ヒロ・ヤマガタ)などよく知られた日本の作家の作品まで、現代美術の館蔵品から200点以上のバラエティ豊かな版画作品を展示します。
近代西洋から現代の日本に至るまでの当館蔵の版画の名品を展示することで、近現代美術の流れを概観しながら、紙、布、陶器などさまざまな素材の上に表された版画の多彩な美と技法を楽しんで頂ける展覧会です。