うらわ美術館のコレクションより新収蔵作品および未公開作品を中心に、また今まで紹介の機会の少なかった作品を加えて展覧します。
絵画であれ彫刻であれ、作品を区別する一つの方法として具象と抽象という言い方がよくなされます。そして具象的なものは分かりやすく、抽象的なものはよく分からないということも、一般的によく言われます。しかし果たしてそうでしょうか。たとえば静物画で描かれる卓上のリンゴは私たちにはよく知られているものであり、そのようなものが描かれていることによって、ある安心感を得ることができます。しかしそれが単に丸と四角になった途端に、私たちはそれをどのように具体物に結び付けて認識すればよいのか、戸惑ってしまうのです。絵画の中に描かれたものが何であるかが分かることと、描かれた絵画の良さが分かるということは、本来別のものであるはずです。また具象と抽象ということには、明確な境界があるわけでもありません。抽象化の途中にあるもの、あるいは両者のイメージがない交ぜになっているもの、様々です。
本展ではこのような観点から、新収蔵および未公開作品を中心に絵画、彫刻等を選び、加えて本のアートを展覧します。