いわさきちひろは、生涯にわたって絵本表現の可能性を追求し続けた画家でした。たくさんの人に絵をみてもらいたいと印刷美術の世界を選んだちひろにとって、絵本はもっとも大切な仕事の中心であり、絵本制作が新たな画境を開くきっかけになることも少なくありませんでした。
本展では、画家として立つことを決意させた紙芝居「お母さんの話」の仕事から、最後に完成させた絵本『戦火のなかの子どもたち』まで、ちひろの創作の軌跡を追います。絵本の原画のほか、制作課程での習作やスケッチ、ダミーなどを展示し、絵本づくりにかけたちひろの思いを浮き彫りにします。