フィンセント・ファン・ゴッホの芸術に重要な役割を果たした人物は少なくありません。ドラクロワやミレー、あるいは同時代のゴーガンなど、大きな影響を与えた芸術家たち。医者ガシェ、郵便配達夫ルーランなど、物心両面にわたってフィンセントを支えた人々。なかでも、生前ほとんど絵が売れなかった兄フィンセントを経済的に支えた弟テオは最大のパトロンでした。また、残された膨大な手紙が物語るように、テオはフィンセントの最大の理解者でもあったのです。テオの存在を抜きにして、フィンセントの芸術を語ることは不可能といえるでしょう。
この展覧会では、フィンセント・ファン・ゴッホの生涯と作品を、もう一人のファン・ゴッホ、テオに焦点をあてながら振り返ります。フィンセントが手紙で弟に説明した作品、テオやその家族のために描かれた作品など油彩画に加え、ゴッホ兄弟と交流を持った画家たちの作品や手紙・写真などの関連資料を展示します。国内外のコレクションから選りすぐった作品・資料90点あまりにより、ゴッホ兄弟の交流の軌跡とそこから生み出された芸術の精華を紹介します。