今後の活躍が期待される新進美術家を個展で紹介するシリーズ「Spinning!」の第4弾として、「菊池敬子」展を開催致します。菊池は、色面で構成する抽象絵画を描いてきました。近作では、建物の窓を通して見える光をモチーフに絵画空間を構成しています。夜景の中にある高層ビルの幾つもの窓から漏れてくる蛍光灯の光や、窓越しに室内へ差し込む陽光などが、抽象的なイメージとして描かれています。画面上の矩形にかたどられた光は、絵画空間を構成するための形態として描かれています。しかし、それは形態としての窓枠を明瞭に見せるためのものではなく、光を描くために存在するものであるように思われます。光を表現することの自由を獲得して以来、画家たちは光に様々な思いを託してきました。菊池が描く光は、形式だけのフォーマルな絵画より逸脱させている光であるのではないでしょうか。現代を生きる菊池が、この光に託したものから私たちは何を見ることができるのでしょう。本展では、最新作を含めた約10点を展覧致します。