成田亨(なりたとおる/1929-2002、青森県出身)は、独自の半抽象彫刻の道を切り拓き新制作展で活躍、気鋭の彫刻家として脚光を浴びました。その一方、美大在学中の『ゴジラ』制作参加をきっかけに特撮の世界へ飛び込み、1960年代後半には初期ウルトラシリーズのヒーローや怪獣、特撮セットなどのデザインを手がけます。そこには、彼の芸術家としての造形感覚や同時代モダンアートのエッセンスが注ぎ込まれていました。それゆえ、成田の怪獣デザインは半世紀近く経つ現在でも色あせない魅力を放ち、幅広い世代に親しまれています。本展では、青森県立美術館所蔵のウルトラシリーズデザイン原画をはじめ、作家本人が手元に遺した彫刻・絵画作品、未公開の怪獣原画や、成田考案の特殊撮影セット再現など、多彩な展示で成田の芸術活動の全貌を紹介します。