絵本作家ビネッテ・シュレーダー(Binette Schroerder, 1939-)は、『お友だちのほしかったルピナスさん』や『わにくん』などの代表作をはじめ、これまで24作の絵本を出版し、さらに70歳を超えてもなお新作に取り組んでいます。
シュレーダーはドイツのハンブルクに生まれ、ミュンヘンの美術学校を経たのちにスイスの実業学校でグラフィックを学び、さらにベルリンに移ってからはグラフィック・デザイナー、肖像写真家、イラストレーターとして働きます。しかし絵本作家になるという子どもの頃からの夢を諦めることはなく、自分なりに絵本を描きつづけました。そして1969年、初めての絵本『お友だちのほしかったルピナスさん』でBIB金のりんご賞をはじめ数々の賞を受賞し、絵本作家として歩みはじめます。「子どもたちが絵を見ているうちに、その中に入ってしまいたくなるような、そういうファンタジーの世界を描き出したい」というシュレーダーの絵本には、透明感のある色彩が塗り重なる幻想的な情景が描かれており、みる者を物語世界へと誘い込みます。
本展では、世界中で長年愛されている数々の名作絵本から原画や草稿を展示するとともに、絵画やマリオネット、石の創作なども加えた約200点をご紹介し、シュレーダーが描く美しく不思議な世界をお楽しみいただきます。