万国博覧会などに出品された日本の美術品や工芸品は、19世紀後半の西洋美術界に大きな衝撃をもたらし、印象派をはじめとする新しい美術様式の誕生に寄与することとなります。
画家で版画家のフェリックス・ブラックモンは第1回印象派展の出品者で、1867年のパリ万国博覧会では伝統的な西洋磁器の器形に浮世絵版画などから借用した図柄を施したテーブルウェアを発表し、注目を集めました。
その後、フランスのリモージュを代表する製陶所アビランド社の美術監督に就任したブラックモンは、ジャポニスム(日本趣味)を積極的に取り入れた革新的な陶磁器を数多く生み出してゆきます。さらに印象派絵画の筆致を思わせる絵付けや、鮮烈な色彩を呈する釉薬を導入するなど、フランスの陶磁器はジャポニスムを媒介として新たな展開をみせました。
本展は、印象派時代の陶磁器が日本で系統的に紹介される初めての機会です。アビランド家の由緒あるコレクションから陶磁器作品約120点、関連する版画や素描など約30点を展覧し、フランスにおけるジャポニスムの豊かな広がりをご紹介します。