新しさの模索。表現の展開―
新制作協会(発足時:新制作派協会)が誕生したのは、1936年(昭和11年)当時の社会状況が戦時体制に傾斜しつつある頃でした。ときの文部省当局が美術団体を改組しようとして、美術界が混乱した渦中に、自由と純粋さを求めて立ちあがったのが、私どもの創立会員である、猪熊弦一郎、伊勢正義、中西利雄、内田巌、小磯良平、佐藤敬、三田康、脇田和、鈴木誠でした。この若き9人の青年画家が独自の芸術活動を願い、この会を結成したのです。創立3年後の1939年(昭和14年)に志をともにする7名の新進彫刻家の参加により、彫刻部が設けられました。戦後の1949年(昭和24年)には建築部(現:スペースデザイン部)、そして日本画部(現:創画会)が合流して、総合美術団体としてその時代の美術界に新風を送り、造形芸術の発展に寄与してまいりました。創立期の「反アカデミック」な芸術精神における行動と主張は、今日も脈々と会全体に生き続けています。
新制作展は一般的に厳選であるという見方をされていますが、会員・出品者を問わず作品1点ずつにできる限り余裕のある空間をとって、作者の造形的意図を充分に表現できるよう努めています。