今年の東山魁夷館の年間テーマは「六本の色鉛筆」。これは1975年に東山さんが記したエッセイの題名です。67歳の時、パリとケルンで開かれた個展のため、秋の終わりから年明けまでをヨーロッパで過ごし、旅のおわりに約1週間オーストリアのザルツブルクに滞在したときに書かれたものです。灰色の章は、第二夜として書かれました。本展では《春兆》や《静唱》を中心に、初期から晩年までの大作や代表的な連作など、東山の画業全体をご覧いただきます。みなさまも作品とともに各地を旅しながら、東山の快いグレーの世界をお楽しみ下さい。