宮崎進は1922年に山口県徳山市(現周南市)に生まれ、20歳で日本美術学校を繰り上げ卒業し出兵、敗戦後1949年までシベリアに抑留されました。戦後、取材に基づく写実的な作品を展開し、1967年には《見世物芸人》で安井賞を受賞します。1974年には、神奈川県鎌倉市にアトリエを移し、そこで旺盛な創作活動を展開します。
布のコラージュは1950年代から用いられていましたが、とくに1980年代以降、それらの作品の規模は大きくなり、抽象的になっていきます。
2004年の第26回サンパウロ・ビエンナーレには、日本代表として《泥土》などの絵画や、立体作品《頭部》など12点を出品しました。
宮崎の創作の根底には、敗戦と抑留の飢餓的状況の経験から見つめ直された人間の生命への強い想いがあります。
本展覧会は、1950年代から近年に至る主要な作品、約70点の絵画と約10点の立体作品に、スケッチ類や取材写真などを加え、以下の5つの章によって宮崎進の人と芸術の全貌を回顧するものです。