古川美術館の分館 爲三郎記念館特別展「7つの旅~現代作家による響演」(2013年5月)の出品を最期に急逝した画家・磯野宏夫の追悼遺作展を開催いたします。
磯野はデザイン会社勤務後、独立してフリーで活躍しました。日本の亜熱帯の森、次いでソロモン、アマゾンへ赴き、熱帯の森が放つエネルギーと美しさに触れ、以後、一貫して自然の姿を描き続けます。時代の趨勢に流されることなく、ひたむきに生命の尊さと向き合い、自身の描きたいものを追求し続けた磯野の作品は、やがて作品に共感した大手企業のポスターやゲームソフト「聖剣伝説」に用いられることとなり、老若男女を問わず幅広く親しまれるようになりました。今尚、多くの人を魅了し続ける作品からは、瑞々しい木々の緑と光ともに、磯野が自然に抱き続けた畏敬の念も伝わってくるようです。
本展では、アマゾンの熱帯、動物たちの命溢れるサバンナ、日本の屋久島の神秘的な森の作品、そしてスクゥエア・エニックスの協力を得て、伝説のファミコンゲームと言われた「聖剣の森」のイメージビジュアル原画など、磯野の代表作を展示いたします。破壊されつつある地球環境を秘かに憂い、自然と人との共生への願いを託した、磯野が愛してやまない生命輝く森の世界を、再び爲三郎記念館に展覧いたします。