写真の役割とはなんだろうか。100年後もしくは1000年後の誰かが現在撮影された写真イメージを見たとき、どのような解釈をするのだろうか。
写真というメディアがこれまで担ってきた役割の1つに、世界を知るための装置、"記録としての写真"がまず挙げられるだろう。
しかし考えてみると"記録としての写真"は、具体的なイメージを提示しているように見えて、実際は鑑賞者の価値観や社会的立場、もしくは付随するキャプションやタイトル、文章等によって、解釈がどうとでも変化する不確かなイメージでしかない。
本展では、"記録としての写真"を提示するのではなく、写真メディアの別の側面を引き出そうとしている作家に参加を呼び掛けた。イメージとイメージを掛け合わせたり、重ね合わせたり、または繋げたりする作品は、それらイメージの断片が、別のメッセージを伝える役割として機能している。それは、今までとは違う方法で、思っても見なかった視覚や知覚の広がりを作る機会になるのではないだろうか。
作家達が広げたイメージの織物、そしてまたそれぞれの作品が出会う事で、更に偶然に織りなして浮かびあがる何かしらのイメージを、鑑賞者と共に発見できる機会になればと思う。
鈴木崇: 本展キュレーター/アーティスト