流行がめまぐるしく移り変わるファッションの世界。昨今では、バラエティに富んだ洋装があり、一方で伝統的な和装を楽しむ人も増えています。絵画の中の「よそおい」もまた、時代とともに変遷し、流行を敏感に映し出しています。
本展では、江戸の絵画や浮世絵の粋なよそおいから、近代・現代の日本画や洋画に描かれたモダンなよそおいまで、各時代のスタイリッシュな男女の着こなしをご紹介いたします。小林古径の雅な平安装束に身を包む色男、安田靫彦や前田青邨の独創的な出で立ちの戦国武将。写楽や豊国の描く役者たちの舞台衣装、池田輝方の江戸っ子の粋な着流し姿―。各時代の最先端を行くクールな男たちのよそおいに、現代の私たちも大いに刺激されることでしょう。
女性像では、伊東深水が描く女優・木暮実千代のモダンな洋装、鏑木清方の艶やかな女性や上村松園の清楚な娘の和装。そこには顔の表情だけでなく装身具や髪形、色の組合せにも、人物の個性や魅力が巧みに描き出されています。随所に表れた画家の美意識や色彩感覚を味わい、着こなしのヒントを発見しながら、絵の中のファッションを思い思いにお楽しみいただける展覧会です。