20世紀を代表する女流画家としてフランスを始め、日本でも特に愛され、親しまれているローランサンは、当時パリを沸き立たせたキュビスム、フォーヴィスムといった芸術運動に参加、ピカソ、ドラン、アンリ・ルソーらのバトー=ラヴォワール(洗濯船)に加わりました。
時代の先端を行く個性的な画家達の中でマドンナ的存在であったローランサンは、彼らに芸術的影響を受けながらも、あくまでも女性らしい美を追求しました。多くの魅力的な友人の中でも、特に、詩人アポリネールとの恋愛は彼女の作風に多大な影響を与え、グレー、ピンク、ブルー等の淡く美しい色彩と甘美な詩情溢れる独自の画風を作り上げました。
本展はローランサンの円熟期の名品を厳選し、油彩を中心に、水彩、挿絵本等を通して彼女の優美な世界をご覧頂きます。
二度の大戦を体験し、結婚、亡命、離婚など波乱に富んだ人生を歩みながらも、優雅に、そしてフランス人女性らしい洗練された美意識と感性を持ち続けたローランサン。
女性が画家として生きることが難しい時代に、常に自分のスタイルを貫き自由に生きた彼女の、可愛らしく、かつ官能的とも言える抒情溢れる名品の数々をお楽しみ下さい。
本展は大谷コレクションを中心に、ニューオータニ美術館、個人コレクターからのご協力を得ての展示となります。