開館20周年記念 春の特別展示「木田金次郎と北海道銀行カレンダー」を開催いたします。木田金次郎(1893~1962)は、生涯のほとんどを故郷である岩内町で過ごした画家です。若き日に有島武郎と出会い、小説「生れ出づる悩み」の主人公のモデルとなったことで、その存在は広く知られていますが、木田の画業が知られるのは、60歳の時に札幌で開催された「第一回個展」(1953年)以降といえるでしょう。
木田の画業が北海道民に広く浸透したきっかけに、北海道銀行の存在があります。北海道銀行は、創立翌年の1952(昭和27)年からカレンダーを制作していますが、1955(昭和30)年に、木田金次郎の「りんご」と「鮒」を用いて以降、今日にいたるまで、北海道ゆかりの作家の作品をカレンダーに採用しています。最初に木田を採用したのは、初代頭取・島本融が、木田の作品に「北海道的なもの」を感じたことにはじまりますが、北海道銀行のカレンダーに木田の作品が掲載されたことで、道内の多くの家庭や取引先で、木田の画業が親しまれていきました。
このたびの展覧会は、当館の開館20周年を記念し、北海道銀行と共催で開催するものです。これまでも同行とは「北海道銀行コレクション」などで、三度共催しておりますが、今回は、北海道銀行のカレンダーに用いられた木田作品を中心に、木田の画業が北海道民に知られていく過程をたどるとともに、同行が北海道の美術と道民を結んできた役割についても紹介します。
道民が身近に触れるカレンダーを通して、そして木田金次郎と北海道銀行の深い縁を通じて、美術作品に親しむことの意義について思いを寄せていただければ幸いです。