渞さんとの花の撮影は2010年8月から始まった。始めた頃の印象は、「シャッターを切る回数がとても少ない」である。ただ見ている時もある。私が花と一体となるように、カメラと一体になっているようである。お互いカメラ小僧と花妖怪になって向き合うと、さらに花とカメラがつながって、おもしろい世界に連れて行ってくれる。そんな時間の跡が、昨年本にまとまり、今回、ギャラリー島田に展示される。いけた花は残らないけれど、渞さんがとても丁寧に切る一瞬、生命が限りなくゆらゆらとし続けている。 珠寳(しゅほう・慈照寺花方)