原田泰治は武蔵野美術大学の商業デザイン学科を卒業後、デザイナーとして生計を立てる傍ら、「こころの生計」を立てるためにふるさとの風景を描き始めます。画家として走り始たばかりの作品は、今のように実際にある場所を取材するのではなく、自身の幼少時代の思い出を元に描いています。より素朴なタッチで描かれた作品の中には、元気いっぱいの子供たちが多く登場します。どれも原田氏が少年時代に感じたふるさとへの思いが溢れる微笑ましい作品ばかりです。本展では第1作目の「うしろのしょうめんだーれ」に始まる、1970年代を中心とした初期の素朴画を展示します。また1973年、原田氏に大きな影響を与えたユーゴ素朴派との出会いを、作品、資料を交えて、心のふるさとを描く画家の原点を紹介します。