現代具象木彫界の第1人者、鈴木実の初の本格的な回顧展。鈴木は1930(昭和5)年、高畠町屋代に生まれ、戦禍を逃れ故郷に避難していた米沢出身の彫刻家桜井祐一の門に入り、彫刻家を目指した。日本美術院、S.A.S.、国画会に意欲的な作品を発表し、1978年、第7回平櫛田中賞、1985年に第16回中原悌二郎賞、そして2000年の第1回円空賞と数々の大きな賞を受賞している。鈴木の彫刻の多くは肖像彫刻であり、自己の存在とは何か、妻、家族、他者とは何かを問い続け、生きることの本質に迫ろうとする厳しい制作姿勢を貫いている。
本展では鈴木実の創造行為の変遷を、1950年頃から最新作まで、国展出品作を中心とした約40点で辿るものである。