―物語の予感
本展覧会では、福井篤が挿絵を、長屋和哉が文章を手がけ、2014年春に刊行される『ナヘルの鐘』を記念して、本書の中で使われた福井篤の作品の原画となるドローイングと最新作のペインティングを展示いたします。ミュージシャンのデヴィッド・シルヴィアンなどともコラボレーションを行い、作品を描いてきた福井篤の作品は、物語性豊かで幻想的です。少女や冬の森の中のようなイメージは、絵本のページをめくっているようで、観る者のさまざまな想像を掻き立てますが、しかし彼の創り出す理想郷的な景色は、どこか近寄りがたく、冷ややかな清々しさをたたえてもいます。繊細な世界観をぜひ展覧会でご覧下さい。福井篤は1966年、愛知県生まれ。1989年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業。現在は山梨県の八ヶ岳にスタジオをかまえて、制作活動を行っています。作品は「六本木クロッシング」(2004年、森美術館)をはじめ、アメリカ、ドイツ、ノルウェー、シンガポールなど各国の展覧会で発表されています。