日本画家・森田りえ子(一九五五― )氏は、古典的な花鳥画から現代社会の象徴までをもテーマとし、世界を舞台にはばたく平成を代表する日本画家です。京都市立芸術大学日本画専攻科修了後、日本画家を目指すも美術団体には属さず、個展形式で作品を発表し、一九八六年には「白日」にて第一回川端龍子賞展大賞を受賞、彗星のごとく頭角を現します。
その後、美術館の選抜展や企画展で作品が紹介され、二〇〇七年の金閣寺の本堂杉戸絵制作や二〇一二年の日本・オマーン国交樹立四〇周年記念個展(日本政府主催)など、多方面でその活躍が認められています。
艶やかな色彩と日本画の伝統を踏襲した豊かな線で描かれる花鳥画には、自然への深い洞察力が見られ、様々な時代や社会で生きるありのままの女性像を描いた人物画には、現代の芸術家として社会の側面を捉える鋭い感性がうかがえます。
本展では、屏風による大作を含む初期から近年までの代表作を一堂に展観し、伝統美と現代的なリアリズムが混在する独自の世界をご紹介します。