江戸時代中期以降、画事を専門にこなす絵師たちとは全く異なり、知識人による余技的な絵画が登場しました。それが「文人」の描いた絵画、つまり「文人画」です。
文人画は、はじめ関西を中心に発展を遂げました。その後十八世紀後半になって、江戸に谷文晁 (ぶんちょう) が登場すると、関東においても大きな広がりを見せることとなり、彼の開いた画塾「写山楼 (しゃざんろう)」は多くの優れた画人を輩出しました。栃木県出身の高久靄厓 (あいがい) は、文晁門下の四天王といわれ、江戸文人画を代表する画人の一人です。
本展では、靄厓の作品をはじめとして、高隆古 (こうりゅうこ)、谷文晁、椿椿山 (つばきちんざん)、渡辺崋山 (かざん)、立原杏所 (きょうしょ) ら靄厓ゆかりの画人の作品を一挙公開します。重要文化財四点を含め、約一〇〇点が出品される大規模企画展です。