スペインの20世紀を代表する巨匠のひとり、ジョアン・ミロ。
1893年カタルーニャ地方の都市バルセロナの美術学校で学んだ後パリにでたミロは、シュルレアリストの若き旗手として注目を集め、独自の発想から得られたユーモアあふれる明快な作風を展開しました。芸術に対する純粋で自由な精神を感じとることができる彼の作品は、今なお世界中の人々の心を魅了し続けています。
1956年、ミロはマヨルカ島パルマの海の見える丘の上に念願の広いアトリエを建てました。63歳の時のことです。バルセロナから飛行機で約30分、地中海に浮かぶこの島は彼の母の故郷であり、少年時代~たびたび訪れていた地でもありました。そのアトリエの「カンヴァスをいっぱい並べるだけのスペース」には、ミロが散歩の途中に見つけて拾い集めたモノたちや様々な土地の民芸品なども置かれていました。それらは制作の途中についたであろう床の絵具のシミと同じく、ミロの創造力の源泉ともなったオブジェたちです。静寂と緊張感の中で、彼は最後まで情熱をもって制作に励み、晩年の傑作を多く残しました。
本展は、アトリエを保存しミロ美術館を運営するピラール・イ・ジョアン・ミロ財団、マヨルカの全面的な協力のもと、主に1960~70年代の傑作より厳選された油彩、素描、版画、彫刻等、総数67点で構成されています。また日本の展覧会としては初めて、アトリエに飾られていた様々なオブジェが出品されます。
マヨルカ島の光の中で生まれたミロ芸術とその源泉をたどる展覧会です。「ミロからのおくりもの」をどうぞご堪能ください。