本年は北大路魯山人没後55年にあたります。
京都上賀茂の社家に生まれ、書家、篆刻家として出発した魯山人は、美食の追求からその実践の場として「美食倶楽部」、「星岡茶寮」を創設し、当時第一級の政治家や財界人、文化人らが集うサロンとして、その名は全国に広まりました。鎌倉の「星岡窯」で、魯山人自身が使うために生み出された器の美しさは、日本だけでなく、海外でも高く評価されています。昭和29年にニューヨーク近代美術館で「魯山人展」が開催されたのをはじめ、国内外で多くの展覧会が開催され、魯山人の作り上げた美学は没後半世紀を経た今もなお、人々を魅了してやみません。
本展覧会は、当館コレクションの中から厳選された作品約120点を、取り合わせにも工夫を凝らし、初公開の作品も含め、「陶」「書」「刻」「茶」「花」「食」「季」の7つのテーマに分けて全館を使い展覧いたします。
魯山人の作品は、「使う」ことで一層の輝きを放ちます。
生涯をかけて日本の美と食を追求した魯山人の「和の美」の全容を知るこれまでにない充実した展覧会になります。この機会に是非ご高覧ください。