碧南市藤井達吉現代美術館は、新年度最初の展覧会として、新収蔵品展を開催いたします。作品収集は企画、調査・研究、教育普及、保存と並ぶ美術館活動の柱であり、美術館の性格を決定づけるものでもあります。本展では2013(平成25)年度に購入・寄贈・寄託の形で収蔵された作品をご紹介します。
注目作品の筆頭に挙げられるのは、日本近代美術を語る際欠くことのできない画家、岸田劉生の《童女飾髪之図》です。墨と淡い着色で描かれた少女たちのモデルは娘の麗子で、劉生の代表作のひとつである油彩《二人麗子図(童女飾髪図)》(泉屋博古館蔵)に先立って描かれました。また文化勲章受章者で京都画壇の重鎮でもあった山口華楊の日本画、昨年度当館で個展を開催した石黒鏘二の彫刻などが並びます。藤井達吉作品としては、小原村時代の教え子から寄託された華やかな屏風や友人が旧蔵していた軸などがあります。これらに加え、堀川恭、高橋洋、水谷たき、丸山勝らの彫刻、鬼頭鍋三郎、島田鮎子、大沼映夫、須田剋太、山本富章、柴田賢治郎、山村博男らの絵画、そして田淵安一、脇田和、佐藤宏、鈴木幹二らの版画など、愛知県立芸術大学で後進の指導にあたった作家たちを含む愛知県ゆかりの人々の作品が多く収蔵されました。
当館では展示面積の関係から、藤井達吉作品以外の所蔵作品を展観する機会が限られています。年に一度の所蔵作品展はこれらをまとめてご覧いただけるまたとないチャンスなのです。新たに碧南市民の財産となった作品たちに会いに是非お越しください。