素材は造形の重要な要素です。金属 (メタル) もその一つであり、日本でも古代から金属を素材とするさまざまな造形が生み出されました。金属の源は地球にあり、地球から金属を採り出しそれを利用する技術の変遷の中で、扱うことのできる金属も変化していきます。本展では京都国立博物館を始め全国の博物館・美術館のご協力のもと、古代・中世の出土品、伝世品から、近現代の美術工芸品に至るまでさまざまな金属造形、金属工芸の名品約100点をご紹介します。愛知県犬山市の古墳より出土した銅鏡から復原された輝き、古代金銅仏の愛らしさ、近世の金工品にみられる精緻な技術、バラエティーに富んだ現代の彫刻表現など、時を越えて伝わる金属表現の魅力をお楽しみください。博物館・美術館がそれぞれの枠組みを超えて連携するのは画期的であり、美術界、さらには産業界に対しても「明日への提言」となる展覧会です。伝統的な鋳物産業から端を発し、現在も自動車部品などのモノづくりが盛んなこの地域にとっても実りあるものとなることでしょう。