本展では、「横尾忠則 肖像図鑑」展にあわせ、彫刻家や写真家、漫画家など、さまざまなアーティスト達が作った「顔」をテーマにした作品を展示します。
北野謙による「our face」という写真シリーズは、原宿に集まる少女や、高野山の僧侶、広島で慰霊の灯籠を流す人々など、ある一つの場所に同じ時間に集まった人々の顔を一人一人撮影した後に一枚の写真として重ねあわせた作品です。大勢の人の顔が集まった写真でありながら、一人の顔に見える不思議な作品は、それぞれの被写体となった人々の人生が重なりあった時間の彫刻にも見えてきます。
また、歌川国芳によって嘉永元(1848)年に描かれた役者の似顔絵は、天保の改革によって贅沢が禁止された時に役者の似顔絵も禁止されたため、わざと壁に釘でひっかいたような手法で描かれ、似顔絵ではなく落書きであるというタイトルをつけて取り締まりを逃れた作品となっています。
「顔」という一つのテーマを、写真家や彫刻家、画家や漫画家といったさまざまなジャンルの芸術家達がどのように作品に仕上げていったのかを、じっくりと見比べてください。