「夢二の愛した日本」をテーマに、夢二がこよなく愛した日本情緒あふれる作品群をご紹介します。
竹久夢二(1884~1934)は漂泊の詩人画家と称されるほど日本各地へと旅を繰り返しています。旅先で目にした四季折々の風景や女性のたおやかな仕種など、夢二が感じた日本の美を、ひいてはその根底に流れる失われてゆくものへの郷愁の念を感じていただきます。さらに、友人や家族、恋人に送った書簡を展示します。そこには旅先の出来事や思いを素直な言葉で書き綴ってあり、夢二の人物像や周囲の人との交流の様子が垣間見られます。今回、夢二生誕130年を記念して新収蔵作品の有島生馬の小説「彫千代」の挿絵原画を初公開します。筆者の有島は友人として夢二を物心両面で支え、夢二の死後は、雑司ヶ谷に建てた墓碑に「竹久夢二を埋む」と揮毫しました。挿絵原画の公開にちなみ、資料を交えてふたりの繋がりをご紹介します。また、外遊先で日本を思って手がけた貴重な油彩画「ノスタルジア」(個人蔵)を15年ぶりに特別公開します。