古来より、いつの時代も人々は、花見や紅葉狩りなどで季節を楽しみ、名勝地や景勝地の風景を愛で、海や川、空の色合いの美しさや山並みの雄大さといった自然美や都市の情景など、生活の中にある風景を享受しながら、四季折々の風景を楽しみ、日々の暮らしに彩りを添えてきました。そのような居心地のよい風景は、天災や人災などで一瞬にしてなくなってしまうことがあります。故郷や思い出の景色、ありふれた日常の風景は、失って初めて大切さを知ることになるかもしれません。
本展では、「風景」をテーマに、芦屋ゆかりの画家である小出楢重や吉原治良、村上三郎や写真家のハナヤ勘兵衛らの作品とともに、国内外で活躍する下道基之 (美術家/写真家)、林勇気 (映像作家)、ヤマガミユキヒロ (美術家) ら若手作家3名と、日本を代表する詩人の谷川俊太郎の作品を展示します。
絵画や映像、写真の作品とあわせて文学の一つである詩を展示し、美術と詩の関係をさぐりながら、近現代の風景表現の流れを見ていきます。そして、我々をとりまく環境と改めて向き合いながら、かけがえのない存在である風景の力を感じていただきたいと思います。