1954年、芦屋。吉原治良率いる具体美術協会が結成されました。「今までにないものをつくれ」と独創性を追い求めた吉原のもと、具体は前衛美術グループとして先鋭的な作品を次々と発表しました。具体は結成当初から海外を視野に入れた国際性に富む活動を行ったことでも知られています。たとえば英訳のつけられた機関誌『具体』の発行、海外での展覧会の実施、1962年大阪・中之島に開館させた私設の美術館=グタイピナコテカへの海外作家の来訪など、具体が早くから世界を活動の舞台としてとらえていたことがわかります。
具体は、吉原治良が発揮した強烈なリーダーシップにより、グループとして非常にまとまった活動を18年にわたって展開しましたが、その結束は決して閉鎖的な場において形成されたものではありません。国際的な交流を積極的に深めたその社交性が具体に与えた影響は多大なものであったに違いなく、その検証は新たな具体像に近づかせてくれるに違いありません。
本展は、具体のもった旺盛な国際性を切り口として、これまでにみたことのない、新たな具体像を探ろうというものです。"