こけしは、江戸時代後期の文化・文政期に誕生したと云われています。
温泉地での農閑期の湯治文化が定着したころ、温泉土産、つまり商売の品物として、何かないだろうか、と発案されたものの中にこけしがあったと考えられています。初めに思いついた人、それを売り出そうとした人々、そしてまた、こけしを手にとり買ってくれた人々、数えきれない人々の関わりのなかで、こけしが今日まで伝えられてきたのだと思います。
今、平成のこけしブームが到来してきたように感じます。こけしを愛する人達は一人ひとりが(自分とこけし達)の世界をいだいているようで、物静かそうな方でも、話はじめるととまらないなどということがよくあります。
ここに展示するこけしは、昭和10年代までにつくられた、古作こけしと称されるもので、現在製作されているこけしのルーツと言えます。鉛筆よりも筆が身近だった時代、電灯がまだこんなに明るくなかった時代、自動車も多くなく、新幹線も無かった時代…
その頃につくられたこけし達なのです。