江戸時代、諸大名にとって幕府への献上は参勤交代と同様の義務であり、将軍への忠誠を表わす重要な行事。鍋島家も献上品に事の他気を遣い、江戸時代初頭には中国から輸入した陶磁器などを献上していました。しかし、17世紀中期頃、中国の内乱の影響で陶磁器が入手困難となり、鍋島家はそれに代わる献上に相応しい新たなやきものとして、鍋島焼を創出します。藩内で培った伊万里焼の技術の粋を集めて生み出された鍋島焼は、17世紀末、大川内山(現伊万里市)に築かれた御道具山(藩の御用品を焼く窯)にて本格製造が開始されました。
鍋島家の記録や伝世品から、鍋島焼の形や文様、種類には一定の規格があったと考えられています。それを裏付けるように、鍋島家にはその形や意匠などを記した図案帳が伝わっています。
今展示では、献上品としての規格性に注目し、盛期の鍋島焼を中心に名品の数々を展示、あわせて図案帳もご紹介致します。
※2014年1月7日(火)に限り、色鍋島尺皿を展示致します。