一枚一枚の紙を丁寧に切り、それを何層にも重ねる、あるがせいじの作品は造形の美しさはもとより、独特の緊張感をもった作品です。
2002年、吉祥寺開店から、レントゲンヴェルケの顔というべき作家のひとりとして、作品同様、静かながら確かな存在感を放つベテランが、3年ぶりの個展を開催いたします。
繊細ながら強い意志によって生み出された作品に込められた途方もない時間とこだわりを、存分にお楽しみ下さい。
【展覧会開催に向けて】「自分というものが関わると、いろいろな事がダメになる。
着想は、自らの手を動かさないと確認できない。
そんな矛盾を考えています」
2013年夏開催された「韜晦―巧術其之肆」に向けて綴られた、あるがせいじの言葉は、飄々と、その一方で禅問答的、
しかしながら量子力学における「アノーマリー」な状態を彷彿させる。
紙という視覚表現に於ける最もシンプルな素材に立ち向かい、
その在り様の気軽さとはうらはらの分厚い表現には、
単純かつ深い思索があったのかと今更ながらに思う。
レントゲンヴェルケ代表
池内 務
皆様のご高覧を心よりお願い申し上げます。