クラーク財団は、日本美術をこよなく愛するウィラード・クラーク氏と彼の妻であるエリザベス夫人によって、1996年にカリフォルニア州のセントラルバレーにあるハンフォードで設立され当地では珍しい日本美術を収集展示する施設を公開するとともに、その研究センター(クラーク財団ルース・アンド・シャーマン・リー日本美術研究所)を開設しています。
そのコレクションには、鎌倉時代の「木造 大威徳明王像」に代表される仏教彫刻に加え、狩野探幽、池大雅、長澤芦雪、曾我蕭白、酒井抱一、狩野芳崖といった著名な画家が描いた屏風や掛軸など、日本の中世から近代にいたるまでの貴重な優品が多数含まれています。
それらの個々の作品には、自然のもつ美しさへの深い愛情とともに、異国の宗教美術に対するクラーク氏の真摯な態度や、江戸庶民の暮しぶりへの温かな共感をみることができます。いわばシリアスな精神と、ユーモアあふれる眼差しという、普遍的な人間性の両面に支えられた、アメリカのコレクターならではの卓抜な審美眼がうかがわれます。
今回の展覧会は、長らく全貌の紹介が待たれていたクラーク財団コレクションの中から厳選した貴重な優品94点により、わが国における初めての本格的な紹介となるものです。
●主な出品作品
花鳥図屏風/伝秋月等観筆/六曲一双/室町時代
玄宗楊貴妃図屏風/伝狩野光信筆/六曲一隻/桃山時代
瀟湘八景図屏風/狩野探幽筆/八曲一隻/江戸時代
月波図/酒井抱一筆 一幅/江戸時代
山水図/中林竹洞筆 一幅/江戸時代
三夕図/鈴木其一筆 三幅対/江戸時代
藤娘と鬼図/河鍋暁斎筆 一幅/明治時代
*作品保護のため、会期中、展示替えを行います。