明治維新後、西洋から流入した油彩画という西洋画法に対して、日本古来の伝統に根ざした絵画を日本画と呼びます。しかしながら当時の日本画家たちはやみくもに伝統絵画に追従したわけではなく、自らの渡欧経験を柔軟に作品に反映させるなど、それぞれ近代という時代を生きる中で独自の画風を確立させていきました。さらにその日本画は、東京と京都という二つの地域が切磋琢磨しながら、より新しいものへと進化していったといわれています。本展では、東京画壇の横山大観・小林古径、京都画壇の竹内栖鳳・村上華岳など東西の巨匠の作品を一堂に展示することで、一言では語ることのできない多彩な日本画の成立と発展の軌跡をたどります。竹内栖鳳の作品8点、村上華岳の作品14点、さらには横山大観と下村観山の合作による「松鶴」、速水御舟の「白鷺紫閃」など、いずれも劣らぬ秀作が広島の地に集結する、美の競演をお楽しみください。また本展は、ひろしま美術館開館35周年を記念したもので、当館日本画コレクションの初めての本格的な展覧会となります。