「自分の絵を見付けたい」と思って、二人でフランスに来て、いつの間にか30年もの年月が流れてしまいました。パリと近郊での15年の都市生活のあと、南ノルマンディーの田舎に暮らして、今年で15年目になります。その間に、迷ったり、つまづいたりしながら、なんとか生き、なんとか絵を描いてきました。日本を離れることにより、いっそう、日本人であるという自覚が強くなりましたが、同時に、フランスに生活しているさまざまな国の人たちとともに暮らす中で、肌の色や話す言葉が違っても、人は誰でも皆同じという意識も強くなりました。結局、日本とフランスの中間にいるような視点で世の中を眺め、私たちはそれぞれ、光と影の織り成す光景に永遠の静けさを感じ、人の幸せを思い願う気持ちに天使を感じています。私たちの未熟な30年間の歩みの軌跡をご覧いただければ幸いです。
山田晃稔 (あきとし)・迪子 (みちこ)