この展覧会では現代日本の四人の作家、逢坂卓郎、大塚聡、須田悦弘、渡辺好明の仕事を紹介します。
これらの作家たちが我々に見せてくれる作品は、それぞれ光線、鏡、木彫、ロウソクの燃焼といったどちらかというとありふれた要素から出来上がっています。映像も音も使用されませんし、特別に刺激的なものは何もありません。また如何にも現代社会らしいメッセージやキャラクター性もなく、美術館とアーティストとの仕事として新奇なものや、小難しいものは何もないのです。むしろ私たちの日常生活の端々に垣間見られる当たり前の要素がアーティストたちの手によって呈示されるといったものでしょうか。
しかしこの作家たちは、その当たり前の要素、つまり自然の現象とリズム、物体の存在感によって、古来の芸術が担ってきた最も初源的な機能、「最終的に感動をもたらすように私たち人間の感覚を揺さぶる」という単純で困難な目的を純粋に追求しています。今日様々な表現が登場して、その多様性は、現代美術の意味にも多様性を与えています。しかし現代美術も、その本質の部分には古来の芸術に通底する純粋で重要な単一の方向性を探り出すことが出来、その方向性を追求するアーティストたちの所為をみることが出来るのです。