時代の淘汰を越えて、なおもイメージの強い鮮度を放つ名作の数々。
それらの名作と称される作品群を見ていくと、そこには共通して、確かな技術に支えられたメチエ(métier)の宿りと、その核ともいえるマチエールの豊かな肌合いが見てとれます。
しかし美術の分野に限らず、例えば音楽・写真・文学などに目を向けると、そこにも各々のマチエールというものが確かに存在する事に気付かされます。
斯くして見ると、マチエールという言葉には、<作品の表象に現われる物質感>という単なる意味を超えて、実は<芸術とは何か><作品とそれを見る人との交感とは何か>という根源にもつながる、興味深い、ミステリアスな思索の<鍵>さえも孕んでいるように思われます。
本展は、銅版画の名作を中心として、シルクスクリーン、写真等におけるクオリティーの高い作品を併せて展示しながら、メチエとは何か!?、マチエールとは何か!?という問題に迫ります。
この企画展は、銅版画・オブジェ・写真・詩・美術評論など幅広い表現活動をされている北川健次氏を顧問にお迎えし、コレクターの方々のご協力を得ながら実現しました。
世界的に評価された浜口陽三の銅版画をはじめ、東西の近代、現代の作品約50点を一堂に展示いたします。
休館日、開館時間、出品作品等は都合により変更する場合がございます。