尾道市立美術館では、普段は鑑賞する機会の少ない、北海道の特色ある美術館のコレクションを紹介する展覧会を開催します。
本展は、平成23(2011)年12月から翌年1月まで開催した「中札内美術村・小泉淳作美術館コレクション 小泉淳作展」に続く北海道シリーズⅡとして、北海道上川郡美瑛町にある新星館を紹介するもので、コレクションの中核を成している画家、須田剋太の作品を展覧します。
須田剋太は、独創的な絵画から迫力ある書まで、生命感あふれた作品を遺し、いまでも存在感を放ち続けている芸術家です。
明治39(1906)年、埼玉県に生まれた須田剋太は、独学で油絵を学び、戦前から戦後にかけては、具象画の分野で光風会や官展(文展、新文展)で活躍し、地歩を固めていきます。
その後、昭和24(1949)年頃に抽象画家の長谷川三郎と出会い、彼の絵画理論に傾倒し抽象画家へ転向します。以後、官展から離れて、同時期に傾倒した禅の東洋思想に基づいた独自の抽象論を形成していったのです。その間、国画会のほか、ブラジル、アメリカ、イタリアでの国際展に積極的に出品し、内外から高い評価を得ました。
昭和46(1971)年から司馬遼太郎の『街道をゆく』の挿絵を担当し、再び具象画を描くようになります。
晩年は、書や陶板なども手がけるようになり、生命の根源を追い求めた独自の芸術を確立しました。