ICCでは、メディア・アートを志す若手アーティストや、発表の機会が限られていたため、衆目を集められなかった新しい試みの作品などを紹介する企画展として、「ニュー・メディア ニュー・フェイス」を1999年より開催してきました。昨今の社会状況下、そうしたアーティストたちによる発表の場は、ますます限られてきています。今回の「ニュー・メディア ニュー・フェイス 02」は、現在ICCが注目する、井上尚子、杉原有紀、タムラサトル、古池大介の四名のアーティストを紹介することにより、メディア・アートの活性化をめざすものです。
井上尚子は、オレンジやチョコレートなどによる香りや匂いといった嗅覚と、触覚、聴覚、視覚の情報を組み合わせたヴィデオ・インスタレーションを制作しています。杉原有紀は、人間を水で包む空間、水のドームの研究と開発を行ない、「水への没入感」を体験できる新しいメディア空間を提案しています。
タムラサトルは、「機械の動き」としか表現できないような、手作りの機械彫刻を制作しています。それらは、現代の機械と人間の間に横たわる無意識を表出しています。古池大介は、モーフィング技術を用いてキリストの肖像や山といった「象徴的なもの」のイメージの連鎖的な変形のうちに、その本質的な意味の変容を見い出そうとします。
これら四名の個性的なアーティストによる、若々しくヴァラエティに富んだ作品から、21世紀のメディア・アートの胎動を感じることができるでしょう。