古代日本には、大陸や朝鮮半島からさまざまな物資や技術が伝えられました。特に稲作はそれまでの人々の生活を一変させ、永(なが)く日本文化の基礎となりました。弥生時代の前期には、青銅器と鉄器がほぼ同時に伝わり、まもなく国内での生産も始まります。
青銅とは銅と錫(すず)の合金のことで、含まれる金属の割合によって色や硬さが異なります。青銅器には、銅鐸(どうたく)・武器(銅矛(どうほこ)・銅剣(どうけん)・銅戈(どうか))・鏡などがあります。なかでも銅鐸は、五穀豊穣を願うまつりの道具とされ、弥生時代を代表する日本独自の青銅器です。
鉄製の武器が広まると青銅製の武器は、実用性を失い銅鐸と同じようにまつりの道具となり、しだいに大型化します。銅鐸は音を鳴らすための小型品から、高さが1mを超えるような、据え置き用のものも出現します。やがて、これらの青銅器は弥生時代の終わり(3世紀中頃)とともに多くが人里離れた山の斜面などに埋められ、いつしかその存在すら忘れられてしまいます。
本展では関連する東アジアの青銅器も併せてご紹介します。今では緑青色の銅鐸も当時は黄金色に輝いており、青銅器に託した古代人の想いや、その美術的な魅力を感じて頂ければ幸いです。