2013年は、幕末日本に衝撃を与えたペリー来航から160年、鳥取藩を揺るがした「因幡二十士事件」から150年にあたる。「因幡二十士事件」とは1863(文久3)年8月17日に、河田佐久馬ら22人の鳥取藩士が、藩主側近を京都の本圀寺において斬殺した事件である。事件後に1人が切腹し、1人が行方不明となったことから、彼らは「因幡二十士」とも呼ばれる。その処遇をめぐって藩内の対立は深まり、不安定な要因を抱えたまま鳥取藩は明治維新を迎える。
この展覧会では、重臣が斬殺されるという鳥取藩政にとって未曾有の大事件はなぜ起こったのか、その背景や与えた影響を幕末鳥取藩の動向から考えるものである。あわせて激動の時代にあって信念を貫き活動した人びとの軌跡を、「鳥取藩二十二士」を中心にしながら第一級資料によって紹介する。
さらに近代以降、郷土の人びとによって功績を称えられ、「志士」として顕彰されていく過程を通観することで、鳥取にとって明治維新とは、どのような意味をもったのかを改めて問い直す。展覧会を通じて明治維新という時代の息吹と、人びとの熱気を感じとっていただきたい。