平成2年(1990)に長崎県の名誉県民として顕彰された彫刻家・富永直樹(長崎市生まれ/1913~2006)の生誕100年を記念し、富永の足跡を紹介するとともにその業績を顕彰する回顧展を開催します。
富永は東京美術学校彫刻科在学中の昭和11年(1936)に《F子の首》によって文展(後の日展)に初入選して以来、日展を主な舞台に活躍した長崎が誇る彫刻家です。昭和25年から27年にかけて三年連続で日展の特選を受賞するなど華々しい活動を繰り広げたその実績は、日本芸術院会員任命(昭和49)、日展理事長就任(昭和54~58)、文化功労者顕彰(昭和59)、文化勲章受章(平成元)などの経歴に見られるように広く認められているところです。また、あまり広く知られていませんが、昭和24年に発表された国産四号電話機やヒット商品となったプラスチックラジオSS-55(昭和27年、三洋電機)のデザインを手がけるなど、戦後のインダストリアルデザインの先駆として今日につながる産業界のデザイン的基盤形成に大きな貢献をしてきました。
本展では、日展出品作を中心とした彫刻作品および関連資料、総数約70点により、富永の仕事を包括的にご紹介します。