岡崎は古より交通の要所として栄え、家康をはじめ三河武士を輩出し、また古代より数多くの寺院が建立されるなど悠久の歴史と豊かな文化を育んできた地域です。このため市内には数多くの文化財が伝えられており、その中には当時の人々の祈りや願いが込められています。
当館ではまた「マインドスケープ(心象風景)」を基本コンセプトにバロック絵画からシュルレアリスムさらに現代美術まで、「心」を伝え、「心」を語る美術作品を収集してきました。
本展では当館の収蔵品や寄託品を中心に、銅鐸(どうたく)や埴輪(はにわ)などの古代の出土品に込められた古の人々の祈りから、神道や密教、浄土教などの美術にみられる神仏への祈り、飾り馬など各地の祭礼における人々の祈りまで日本における信仰の軌跡をたどります。それとともにキリスト教に関する美術品と20世紀最大の宗教画家ルオーの版画集『ミセレーレ」などを展示し、いにしえから近代に至るまで、洋の東西を問わず人々の「祈り」や「願い」などが表現された資料や美術品を紹介します。価値観の多様化や国際化が急速に進展する今日、様々な人々の祈りの表現を通して、多様な文化やその根底にある人々の「心」への理解を深めて頂ければ幸いです。