いせひでこ(1949年- )は、繊細な画風と詩的なエッセイで人気の画家・絵本作家です。東京藝術大学でデザインを学び、在学中にパリへ遊学します。卒業後、絵本作家またエッセイストとして数々の作品を発表し、『ルリユールおじさん』(2006年、講談社出版文化賞絵本賞受賞) などの創作絵本や、宮沢賢治『水仙月の四日』(1995年、産経児童出版文化賞美術賞受賞) などの臨場感あふれる画風で知られます。今までに手がけた絵本や翻訳は100冊を超え、繊細で透明感のある色彩と生き生きとした描写が紡ぎだす世界観は、幅広い世代を魅了しています。また、制作と同時に絵本原画展を日本各地および各国で開催し、絵本を通して人同士の絆を強める活動を続けています。
本展では、作家がライフワークとして探求を続けているゴッホと弟テオの話をもとにした『にいさん』、ゴッホや宮沢賢治のイメージと共に自分の絵を求める少年を描いた『絵描き』、近年のテーマである「木」と人の関わりを描いた『大きな木のような人』、木と共生してきた日本のこころを描いた『まつり』、2013年4月より雑誌『婦人之友』に連載中の「わたしの木、こころの木」の原画を中心に紹介します。生きとし生けるものの命をみつめ自然と人の交流を瑞々しい絵で物語る、いせひでこの絵本世界をお楽しみください。