戦後芸術の新たな地平を切り拓いた「実験工房」は、美術や音楽など、様々なジャンルを超えて集まった若手前衛芸術家のグループです。美術家の北代省三、駒井哲郎、福島秀子、山口勝弘、写真家の大辻清司、作曲家の佐藤慶次郎、鈴木博義、武満徹、福島和夫、湯浅譲二、ピアニストの園田高弘、照明家の今井直次、技術者の山崎英夫、詩人・評論家の秋山邦晴など、多岐に亘るメンバーが顔を揃えました。グループの命名者である詩人で美術評論家の瀧口修造らの支持を受け、「実験工房」は1951年に結成されました。世界的に見ても「実験工房」の活動は非常に先駆的で、前衛美術・現代音楽・創作バレエ・モダンダンス・実験映画など、幅広い分野において実験精神に富んだ総合芸術を標榜した点でもユニークなものでした。正式な解散はしていませんが、1957年頃にはグループとしての活動はほぼ終了し、メンバーそれぞれは各分野のリーダー的存在となり、その後も活発に活動を展開して行きました。
本展は世界的にも再評価が進む「実験工房」の活動を、公立美術館初の試みとして再検証し、絵画、立体、写真、映像、楽譜などの作品とともに、記録写真やプログラム等の資料を含む約450点にてご紹介し、「実験工房」の全貌に迫ります。